頭皮の「水分」と「水分蒸散量」は同じ?|保湿研究の数字を読み分ける

頭皮の保湿について調べていると、「角層水分量」と「水分蒸散量」という、よく似た言葉が出てきます。どちらにも水分とあるので、同じうるおいを別の言い方で表しているように見えるかもしれません。

大きな違いは、角層にどれくらい水分があるかを見るのか、皮膚を通って外へ出ていく水分を見るのか。この二つを分けると、保湿研究の図や説明が少し読みやすくなります。測定器を買ったり、毎日の記録を増やしたりするためではなく、言葉の意味を知るためのお話です。

角層水分量は、角層の水分を反映する指標

角層は、皮膚のいちばん外側にある層です。「角層水分量」の測定には、水分によって変わる電気的な性質を利用する方法があります。

たとえば研究用機器のCorneometer CM 825は、角層の水分に応じた静電容量の変化を測ります。皮膚から水を取り出して重さを量っているわけではありません。結果は機器の独自の単位で示されるため、数字をそのまま「水分が何%ある」という意味にはできません。[1]

ここで持ち帰りたいのは、機器の名前よりも「角層の水分を反映した値を見ている」という点です。ほかの機器や表示方式まで、すべて同じ単位だと考える必要はありません。

TEWLは、皮膚を通って失われる水分を見る

もう一つの「経表皮水分蒸散量」は、TEWLと略されます。こちらは、皮膚を通って外へ失われる水分を、一定の面積と時間あたりで表す指標です。角層の中にある水分そのものを数えているわけではありません。

研究用機器Tewameter TM Hexでは、皮膚表面近くの温度や湿度を測るセンサーを使い、水蒸気の密度の変化からTEWLを評価します。単位は「g/h/m²」。1平方メートルあたり、1時間に何グラムの水分が失われるかに換算した表し方です。[2]

この単位は、実際に頭皮1平方メートルを1時間測ったという意味ではありません。面積と時間あたりの値として表現する単位です。研究同士の比較には、測定部位や環境などの条件も確認が必要です。

「そこにある水分」と「出ていく水分」は、別の問い

角層水分量は水分の状態を、TEWLは水分が失われる速さを捉えるもの、と並べると違いが見えてきます。どちらも保湿を考える手がかりですが、同じ「うるおい点数」ではありません。

たとえば、単位の違う二つのグラフで数字の大小を比べても、それだけでどちらの頭皮がうるおっているかは決まりません。「値が増えた」という文章でも、何を測った値なのかによって意味が変わります。研究の結果を読むときは、まず図の縦軸や項目名に目を向けてみてください。

また、ここで説明したのは測定の意味であって、自分の頭皮の正常値や、特定の商品が自分に合うかを決める基準ではありません。製品の効果について読むときは、その製品をどのような条件で調べた結果なのかという、別の情報が必要です。

次に「水分」の数字を見たら

覚えることは二つだけ。角層にある水分を見るのか、外へ出ていく水分を見るのか。そして、単位は何か。

似た言葉の違いが分かれば、大きな数字に急かされず、説明を自分のペースで読めます。お手入れを増やさなくても、選ぶときの見方が一つ増える。それも、頭皮と付き合うための小さな知識です。

数値だけでなく、頭皮を拡大して観察する方法にも、分かることと限界があります。頭皮チェックで分かることと限界も参考にしてください。

参考資料

[1]Courage + Khazaka electronic GmbH:Corneometer CM 825(測定原理・仕様)。

[2]同社:Tewameter TM Hex(測定原理・単位)。機器メーカーによる仕様説明を、測定の意味の確認に使用しています。特定機器の購入や市販ヘアケア製品の効果を勧めるものではありません。

編集:KIWABIヘアケア編集部

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