髪の根元にある「立毛筋」とは?|鳥肌から知る、頭皮の小さなしくみ

寒い日に袖をまくったら、腕に小さなぶつぶつが現れる。よく知っている鳥肌ですが、そこには毛とつながる、とても小さな筋肉が関わっています。名前は立毛筋(りつもうきん)。頭皮のことを、洗う・うるおすだけではない角度から眺めてみましょう。

髪の根元は、毛だけでできていない

皮膚の中で毛を包む構造を「毛包」といいます。立毛筋は、この毛包につながる小さな平滑筋です。毛包のまわりには神経もあり、毛・筋肉・神経は、それぞれ離れた部品ではなく、関係し合う構造をつくっています。[1]

「筋肉」と聞くと、腕を曲げるときのように自分の意思で動かすものを想像しがちです。ただ、立毛筋の収縮は交感神経の働きに関わる反応です。頭皮を指で動かすマッサージと、立毛筋が収縮することは、同じ動きではありません。[3]

鳥肌では、毛の向きが変わる

立毛筋が縮むと毛が起き上がり、皮膚に鳥肌が現れます。厚い毛に覆われた動物では、毛を立たせる反応が保温に役立ちます。一方、体毛の少ない人では、動物と同じような保温を期待できるわけではありません。[2]

ここで分けておきたいのが、「頭がぞわっとした」という感覚と、「頭髪が目で分かるほど立った」という観察です。感覚があっただけで、立毛筋がどの程度動いたかを確かめたことにはなりません。髪が立って見えないことを、筋肉が働いていない証拠にするのも早計です。自分の髪で反応の良し悪しを採点する必要はありません。

研究の発見と、今日のケアは別の話

2020年の研究では、マウスを使って、立毛筋や交感神経と毛包の幹細胞とのつながりが調べられました。寒さへの反応と毛の再生に関する結果も報告されています。[1]

これは、人が頭を冷やしたり、鳥肌を立てたりすれば髪が増えると確かめた研究ではありません。頭皮のマッサージ用品や化粧品の発毛効果を示すものでもありません。論文の「何を使って、何を調べたか」を一緒に見ると、興味深い発見を、そのまま自分へのお手入れの宿題にせず楽しめます。

知るだけの日があってもいい

鏡に映るのは髪の表面ですが、その根元では小さな構造がつながっています。次に鳥肌を見たら、「毛には、こんな筋肉もあるのだった」と思い出す。それだけでも、いつもの髪の見え方が少し変わりそうです。

この話を試すために、冷水を浴びたり、頭皮を強く刺激したりする必要はありません。何かを増やすケアではなく、知識をひとつ持っていつものお手入れに戻る。そんな短い休憩も、自分の体を大切にする時間になります。

お手入れとしてのマッサージを知りたい方は、頭皮マッサージの目的・方法・やめたほうがよいときもご覧ください。

参考資料

  1. Shwartzほか:Cell types promoting goosebumps form a niche to regulate hair follicle stem cells(Cell、2020年)
  2. 米国国立衛生研究所(NIH):What goosebumps are for
  3. StatPearls / NCBI Bookshelf:Anatomy, Hair Follicle

編集:KIWABIヘアケア編集部。本記事は体のしくみを知るための読み物であり、頭皮の症状を診断するものではありません。

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