夜の用事をひと区切りしたら、今日の空を少しだけ見上げる。星の名前をたくさん覚えるつもりはなくても、探すものを一つ決めると、見慣れた空に小さな楽しみができます。
その候補にしたいのが「すばる」。一つの明るい星の名前ではなく、おうし座にあるプレアデス星団の和名です。光の粒が近くに集まっているように見える、空の小さなまとまりです。
「六つ」と数えられなくても
国立天文台は、すばるが日本で「六づら星」などの名でも親しまれ、世界各地で方角や季節、時刻の目印として使われてきたことを紹介しています。名寄市のなよろ市立天文台の資料でも、肉眼で数個の星の集まりとして見える散開星団と説明されています。
だからといって、六つ数えることを目標にしなくても構いません。今日は小さくまとまって見える、写真ではもっとたくさんある。その違いに気づくだけでも、星を見る時間は始まっています。望遠鏡で写した写真の色や細部が、そのまま肉眼で見えるわけではないことも覚えておきたいところです。
出かける前に、自分の場所の空を確かめる
空のどちらを探すかは、日付・時刻・場所によって変わります。国立天文台の「今日のほしぞら」で、観察する地域と時刻を選んでから空へ目を向けると、手掛かりを作れます。まずおうし座の位置を確かめてみましょう。
2026年10月の国立天文台の案内では、後半の宵には秋の星座が東から南の空に見えるようになり、26日は満月とされています。月明かりのある晩に、淡い星の集まりを見つけようとして、うまくいかないこともあるでしょう。今日見えないことを、自分の見つけ方だけのせいにしなくて大丈夫です。
暗い場所を求めて遠くへ行く必要はありません。安全に立ち止まれる場所から、見える範囲で。歩きながら上を向かず、足元や周りにも気を配り、冷える夜は短く切り上げます。見つからなければ、また別の晩に続きを残しておきましょう。
曇りの日は、写真を一枚だけ
窓の外が雲でいっぱいなら、国立天文台のすばるを写した写真を見るのも一つの楽しみ方です。これは2015年に公開されたハワイ・マウナケアの写真で、今夜の日本の空を示すものではありません。
地上の建物と、その上にある星の集まりを交互に眺めてみる。画面を次々と送るのではなく、一枚の中で視線をゆっくり動かすと、最初は見ていなかった光に気づくかもしれません。
特別な道具を買わず、夜更かしの予定も立てず、今日は空を一度見た。それくらいの小ささで楽しめる趣味があってもよいのだと思います。翌朝の鳥の声を聞く散歩のように、名前を全部知らないまま、身近な景色を少しずつ楽しんでみませんか。
参考資料
- 国立天文台「散開星団『すばる』と木星が優しく見守るマウナケアの静夜」
- なよろ市立天文台「きたすばる」2023年11月号
- 国立天文台「東京の星空・カレンダー・惑星(2026年10月)」
- 国立天文台暦計算室「今日のほしぞら」
資料確認日:2026年10月24日。空の見え方は天候・場所・日時で異なります。