切った髪が、油を集めるマットになるまで|髪を素材として使う研究

美容室で髪を切ったあと、鏡に映る長さは変わります。では、切り離されたほうの髪はどうなるのでしょう。かつらの材料だけでなく、油を集めるための素材として使う取り組みや研究もあります。

髪を絡ませてマットにしたり、袋状のものに詰めたりする。ただし、「髪ならどこでも油をよく取れる」と分かったわけではありません。素材の形と、使う場所を一緒に考えるところに、この研究の面白さがあります。

一本の髪から、扱える形へ

米国の非営利団体Matter of Trustは、回収した髪などを長さで分け、長い繊維をマットなどへ加工する取り組みを紹介しています。髪を集めたままではなく、用途に合わせた形にする工程があるのです。

ここで思い浮かべたいのは、髪型ではなく「細い繊維の集まり」としての髪。一本ではつまみにくいものも、まとまった面になれば、置く、持ち上げる、取り除くという動作につなげられます。素材の特徴だけでなく、人が扱える形にすることも、使い道をつくる一部です。

ガラス、タイル、砂。同じ髪でも結果は変わる

2020年に発表された研究では、人の髪や犬の毛などを、ばらばらの状態、マット、筒状の袋に詰めた状態で比較しました。比較対象にはポリプロピレン製の資材なども含まれます。実験は陸上の油流出を想定し、ガラス、素焼きのタイル、砂の上で行われました。

各資材を10gにそろえ、5mLの原油に5分間接触させる条件です。結果は素材名だけで決まらず、形と地面の組み合わせで異なりました。特に砂では、ポリプロピレンの成績が他の資材を上回りました。髪のマットを、あらゆる場所で従来品の代わりにできると示した実験ではありません。

「髪が油を集める」という短い見出しの先に、どんな形の髪を、何の上で、どのくらいの時間使ったのかがある。研究の条件まで読むと、素材の可能性と、得意ではない場面が一緒に見えてきます。

集めた後まで考えて、素材の使い道になる

研究では、ばらばらの繊維よりもマットや袋状の資材のほうが、置いたり回収したりしやすい点も述べられています。一方、繰り返し使えるか、油を回収した後にどう扱うかといった課題は、さらに検討が必要とされています。

天然由来であることと、使用後まで含めて環境負荷が小さいことは、同じ意味ではありません。ここでは家庭で油を使った実験や、切った髪の発送を勧めるのではなく、研究で確かめられた範囲を紹介しています。

使い道を知るだけでも、髪の見え方は変わる

毎日とかしたり、洗ったりしている髪にも、装いとは別の見方があります。何かを始めなければならないわけではありません。切った髪を「もう役目を終えたもの」とだけ考えず、形を変えて使う研究があると知る。それだけでも、次に美容室で過ごす時間に、話題が一つ増えるかもしれません。

かつらなどへの提供を考えている場合は、別記事の白髪・カラー毛のヘアドネーションを考える前にで、用途と受け入れ条件を分けて確認する考え方を紹介しています。この記事で取り上げた団体とKIWABIの提携を示すものではありません。

参照資料

研究の実験条件と団体の取り組みを区別して紹介しています。2026年10月22日確認。編集:KIWABIヘアケア編集部。

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