髪を乾かしていると、ある場所だけ自然に流れる方向が決まっている。後ろ姿を撮った写真では、頭の上に小さな渦が見える。普段はあまり意識しない「つむじ」にも、研究者が問いを立てています。
右回りか左回りかというつむじの向きには、複数の遺伝的な要因が関わることが、2023年の研究で示されています。ただし、親と同じ向きになるという単純なルールや、人の性格を読み取る方法が見つかったわけではありません。
髪の一本ではなく、生える向きの集まり
つむじは、一点を囲むように髪が生えることで見える渦の模様です。一本の髪がねじれていることと、頭皮の上で多くの髪が一定の流れをつくることは、分けて考えられます。
また、自分で櫛を入れてつくる「分け目」とも、まったく同じものではありません。髪型の表面に見える線を変えることと、もともとの生え方の向きを考えることでは、問いが違います。
4,099人の単一のつむじを調べた研究
『Journal of Investigative Dermatology』に掲載されたLuoらの研究は、中国の二つの集団、計4,099人を対象に、つむじの向きと遺伝情報の関連を調べました。分析したのは、つむじが一つで、右回りまたは左回りの人です。二つのつむじや、はっきりした渦をつくらないパターンをすべて同じように調べた研究ではありません。
研究では向きに関連する四つの遺伝的領域が見つかり、複数の遺伝的要因が関わる特徴だと報告されました。髪がつくられる過程での細胞の向きや形、頭部の発達が関わる可能性も論じられていますが、詳しい仕組みのすべてが確定したわけではありません。
渦の向きから、その人を決めない
「関連する領域が見つかった」という結果は、鏡で向きを見ればその人の遺伝情報や能力が分かる、という意味ではありません。研究対象にも範囲があります。この結果だけで、日本人全体の右回り・左回りの割合や、家族のつむじの向きを計算することはできません。
つむじの話題が、いつの間にか「頑固そう」「器用そう」と人を分類する話になってしまうことがあります。でも、髪の流れを面白いと思うことと、人柄を決めることは別です。見つけた違いを、そのまま違いとして楽しむ余地を残しておきたいものです。
いつもの身支度に戻ってみる
研究の数字を覚えなくても、明日の身支度で「ここはこう流れるんだ」と気づけば、それだけで髪の見方が少し変わります。思いどおりに直すことだけが、髪と付き合う方法ではありません。
美容室で髪型を相談するときも、「この部分が自然に分かれる」「ここは流れを残したい」と具体的に伝えると、自分の希望を共有する手がかりになります。髪型写真のどこが好きかを言葉にすることと合わせて、自分の髪について知っていることを一つ添えてみてはいかがでしょうか。
参照資料
Luo J, et al. GWASs Identify Genetic Loci Associated with Human Scalp Hair Whorl Direction. Journal of Investigative Dermatology. 2023;143:2065–2068.e10. DOI: 10.1016/j.jid.2023.04.008。研究対象と関連の範囲を区別して紹介しています。2026年10月22日確認。編集:KIWABIヘアケア編集部。