頭皮チェックの画面に「油分」という数字が出てくると、多いのか少ないのかが気になるもの。けれど、その数字は何をどう測ったのでしょう。表面を大きく写すカメラとは別に、頭皮に触れたテープの、光の通り方から油分を調べる方法があります。
今回は、頭皮の皮脂を測る道具と、結果を見る前に知っておきたい条件のお話。自分で測定器を買うためではなく、説明を落ち着いて聞くための小さな予習です。
油が付くと、テープは光を通しやすくなる
研究用機器Sebumeter SM 815では、不透明な専用テープを皮膚や髪に触れさせます。表面の油分が付くとテープの透明度が変わり、その光の通り方を機器で読み取ります。油を容器に集めて重さを量るのとは違う方法です。[1]
メーカーの仕様では、表示は機器の単位で、一定の範囲では面積あたりの油分量に近似するとされています。つまり、数字だけを抜き出して「頭皮の何%が油」と読むことはできません。使う機器によって表示の意味も確かめる必要があります。
頭皮は髪に覆われているため、測りたい場所へ届くことも大切。別の機器Meibometer MB 560には、髪を分けた頭皮へ細い測定用ストリップを当てるための専用アダプターが用意されています。測定器の形にも、頭皮ならではの工夫があるのです。[2]
「どこで」「洗ってから何時間後か」も結果の一部
皮脂の数字は、測定した場所や洗髪からの時間と一緒に読むと、意味が見えてきます。1994年に発表された女性40人を対象とする研究では、頭頂部・前頭部・側頭部・後頭部を分け、洗髪前と洗髪後の複数の時点で調べています。部位による違いが報告され、研究者は「頭皮全体の一つの値」として扱っていません。[3]
この研究では、使用するシャンプーや他の頭髪用製品の使用条件もそろえています。ここで注目したいのは、誰にでも当てはまる標準値ではなく、比較するために条件を整えていること。一つの研究の結果から、全員の洗髪間隔や「正常な油分量」を決めることはできません。
次に数値を見せてもらったら、三つだけ聞いてみる
難しい機器名を覚える必要はありません。説明を聞く場面では、次の三つが入口になります。
- これは頭皮のどの場所を測った値ですか。
- 洗髪や整髪料の使用から、どのくらい時間がたった条件ですか。
- 表示の単位と、比較している基準は何ですか。
別の日の結果と比べる場合も、「前と同じ場所・条件でしょうか」と尋ねてみましょう。数値が違ったという事実と、ケアによって変わったという解釈は、分けて考えたいところです。
また、油分の値は頭皮の状態を知る材料の一つで、かゆみの原因や商品の適合性をそのまま示す答えではありません。数字を下げるために洗う回数を増やすのではなく、何を測ったのかをまず理解する。それだけでも、勧められたお手入れを自分のペースで考えやすくなります。
水分の測定も気になったら、角層水分量と水分蒸散量の違いへ。頭皮には、一つの点数では表しきれない、いくつもの見方があります。
参考資料・編集について
- Courage + Khazaka:Sebumeter SM 815 製品資料(測定原理・表示単位)
- 同社:頭皮の油分測定用アダプター(Meibometer MB 560)
- 中村雅子「頭皮皮脂分泌量に関する研究(第1報)」、日本化粧品技術者会誌、27巻4号、1994年、546–549頁。
編集:KIWABIヘアケア編集部。測定方法を紹介する読み物であり、機器の購入や特定のヘアケア製品の効果を勧めるものではありません。
主画像は記事内容をイメージしたAI生成画像です。