髪を染める製品の色を調べると聞くと、まず毛束を思い浮かべるかもしれません。ところが、研究や品質の確認では、白い布が登場することもあります。
大阪健康安全基盤研究所が2026年7月に紹介したのは、酸化染毛剤の染毛試験に使う資材の研究です。「何色になったか」だけでなく、「何に色を付けたのか」に目を向けると、試験の読み方が少し変わります。
髪の代わりに、羊毛の白い布?
同研究所の解説によると、酸化染毛剤の一部では、製造販売承認書に染毛試験が設定されています。その試験用資材として、規格に準拠した羊毛製の白布が例示されています。ここでの白い布は、家にあるタオルや衣服ではなく、試験のための資材です。
2021年にその羊毛製白布の供給が一時停止したことが、代わりになる資材を調べるきっかけとなりました。研究の出発点は「どの商品が一番よく染まるか」ではなく、「試験を行うために、ほかに何を使えるか」だったのです。出典:大阪健康安全基盤研究所「酸化染毛剤で設定される染毛試験について」
同じ色を見るにも、相手の素材が違う
2024年に公表された原著では、羊毛、絹、ナイロンなど6種類の白布と、ヤギ・ヤクの白色毛束を比較しています。ナイロンの布やヤギ・ヤクの毛束では、基準にした羊毛の布に近い色相が得られ、代替資材としての有用性が示されました。
一方、研究所の解説では、ナイロンの布は明るく染まる傾向があり、動物の毛束は内側まで完全に染めることが難しかった点も紹介されています。「近い色が得られた」と「どの素材でも全く同じ結果になる」は違う、ということです。原著:中村暁彦ほか「染毛試験に使用するJIS白布(毛)の代替資材の調査」日本香粧品学会誌48巻2号、2024年
試験の結果と、自分の髪の仕上がりは別
この研究は、特定の試験条件で使う資材を検討したものです。読者一人ひとりの髪が何色になるかを予測した試験でも、肌に使ったときの安全性を確かめた試験でもありません。また、KIWABI製品の性能を検証した資料として紹介しているわけではありません。
商品説明や研究記事で「試験済み」という言葉を見たら、試した対象と、調べた目的を一緒に読む。「何を確かめた結果なのだろう」という一つの問いがあると、結果の意味を必要以上に大きくしないで受け取れます。
自分の髪色を確かめる毛束テストと、肌の反応を確かめるパッチテストの違いについては、毛束テストとパッチテストを分けて考える記事で扱います。家庭で白布を染める実験を勧めるものではなく、実際の使用では手元の製品の説明書に従ってください。
いつもの白髪染めの向こうには、試験に使う白い布を丁寧に選ぶ研究もある。そんな小さな発見を持ち帰って、次に説明を読むときの視点を一つ増やしてみませんか。
執筆:KIWABIヘアケア編集部。酸化染毛剤の試験資材に関する研究を紹介しています。すべての白髪ケア製品に同じ試験が適用されるという意味ではありません。