白髪染めは、貝殻に入って売られていた?|江戸の広告を読む

白髪ケア用品を手に取ると、箱や容器には内容量や使い方が書かれています。では、チューブやポンプが今ほど身近でなかった時代には、どんな形で売られていたのでしょう。

その手がかりの一つが、江戸時代の広告にある「一貝」という言葉です。貝殻と白髪染め。一見遠い組み合わせから、昔の買い物を少し眺めてみましょう。

「一貝」は、何を教えてくれる?

伊勢半本店 紅ミュージアムの研究報告『BENI MUSEUM REPORT』第56号では、江戸時代の白髪染めを広告資料から考察しています。その中で紹介される「黒油美玄香」の広告には、「一貝」と数える販売単位が登場します。

同報告は、当時、軟膏などの練り物を貝殻に入れて販売したことから、この単位を内容品が練り状だったことの手がかりとして読んでいます。つまり、貝殻に入った白髪染めという見方は、広告の一語と当時の容器の習慣を結び付けた考察なのです。出典:紅ミュージアム『BENI MUSEUM REPORT』第56号、2023年春、1〜2ページ

すべての白髪染めが貝殻入りだった、という意味ではありません。小さな単位から、特定の商品がどのような姿だったかを考える。広告には、宣伝文とは別のところにも生活の情報が残っているのですね。

同館が所蔵する1861年の「白髪染め薬」の引札には、商品や売り手についての情報だけでなく、効能や使い方も並びます。ただし、研究報告は、当時の引札には誇張表現が珍しくないことにも注意を向けています。

昔の広告に「よく染まる」と書いてあったとしても、それだけで当時の仕上がりを確かめたことにはなりません。広告が伝えたい魅力と、資料から確認できる事実は別。これは古い資料だけでなく、今、商品を選ぶときにも役立つ読み方です。

今の一本も、まず「何をするものか」から

現代の白髪ケアには、一時的に色を重ねるもの、洗髪の工程で使うものなど、異なる役割の商品があります。強い言葉を探す前に、自分がしたいことと、製品の用途が合っているかを読む。その後で使用方法や注意事項を見ると、選択が整理しやすくなります。

たとえば「今日だけ生え際を整えたい」と「普段の洗髪に着色の工程を取り入れたい」は、同じ白髪の話でも違う希望です。道具の見た目や名前だけではなく、役割を比べたいときは、白髪の根元ケアの方法を比べる記事へ。

貝殻の一語から始めた読書が、いつもの一本を少し丁寧に読む時間につながる。古い広告は、懐かしむだけでなく、買い物の見方を増やしてくれます。

執筆:KIWABIヘアケア編集部。歴史資料の紹介であり、当時の製品の効能を実証したり、製法の再現・使用を勧めたりするものではありません。

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