
「白髪染めとがんに関連」という見出しを見ると、いつものお手入れを続けてよいのか迷うかもしれません。こうした報道は、研究した人たち、使った製品、調べた病気を確かめると、受け止め方が変わります。
白髪染めの個人使用とがんの関係は、研究やがんの種類によって結果がそろっていません。一つの記事から、自分の発症や特定商品の安全性を決めることはできません。ここでは、報道を読んだあとに何を確認するとよいかを整理します。
誰の、何の使い方を調べた研究?
米国国立がん研究所(NCI)は、理美容の仕事で染毛製品を扱う人の研究と、自分の髪を染める人の研究を区別しています。触れる頻度や状況が違うため、職業上の研究結果を、そのまま家庭での一回の使用に当てはめることはできません。[1]
製品の年代も確認したい点です。NCIは、永久染毛剤の処方が1970年代半ばから後半に変更され、一部の成分が取り除かれた経緯を説明しています。昔からの使用歴を含む研究と、現在店頭にある一本の評価は同じではありません。これは、現在の商品なら問題がないという保証でもありません。[1]
報道の「ヘア製品」という言葉にも目を向けましょう。染毛剤を調べた研究なのか、髪を伸ばすストレート剤なども含む研究なのか。タイトルだけで分からなければ、本文やリンク先で製品の種類を確認します。
「がん全体」と「一部のがん」を読み分ける
2020年のBMJ論文は、米国の女性看護師117,200人を対象に、永久染毛剤の使用と、その後のがんとの関連を調べました。多くのがんやがん死亡との正の関連は認められなかった一方、基底細胞がんや一部の乳がん、卵巣がんについては、追加検討が必要な結果が示されています。「すべて危険」「すべて無関係」のどちらか一言では表せない研究です。[2]
別のSister Studyでは、乳がんを経験した姉妹がいる35~74歳の女性46,709人を調べ、永久染毛剤の使用と乳がんリスクとの関連を報告しています。参加者の背景や調べ方が先ほどの研究とは異なります。研究の人数だけでなく、誰が参加したかも読む必要があります。[3]
結果が違うことは、好きな結論だけを選んでよいという意味ではありません。病気の種類、使用の定義、追跡した期間が同じかを確かめ、複数の研究をまとめた公的機関の説明と照らし合わせるのが一つの方法です。
関連がある、という言葉の範囲
この二つは、人々の使用歴や健康状態を追う観察研究です。条件を調整して分析していても、生活習慣など、結果に影響する要素をすべて取り除けたとは限りません。「使用した人で多かった」という関連から、染毛剤だけが原因だったと断定することはできません。逆に、因果関係が確定していないことを理由に、研究結果を無視してよいわけでもありません。
「リスクが何%高い」という数字を見るときも、何と比較した数字か、何年間を調べたかを確認しましょう。比較した集団の差を表す数字は、そのまま自分が病気になる確率を表してはいません。数字だけが切り取られた投稿なら、元の研究へ戻ることが役立ちます。
商品の宣伝へ結び付ける前に
NCIが紹介するIARCの評価では、染毛剤の個人使用は、人への発がん性について分類できないとされています。この表現を、安全が証明されたという意味にも、発がん性が確定したという意味にも読み替えないようにします。[1]
また、ここで紹介した研究から「天然ならがんを防げる」「このカラーシャンプーへ替えればリスクがなくなる」といった商品ごとの結論は出せません。KIWABIの商品についても同様です。髪に色を付ける目的と、病気の予防を期待することは分けて選びましょう。
不安が残ったときの相談メモ
心配が続く場合は、使っている商品名・種類・おおよその使用頻度と、気になった報道のURLを控えて医師へ相談できます。家族歴や治療中の病気など、自分の健康について確認したい点も一緒に伝えると、一般的な記事だけでは答えられない疑問を整理しやすくなります。
今日のお手入れでは、引き続き製品の説明書と使用上の注意を守ってください。かぶれなど、使用中や使用後に起こる皮膚の反応については、白髪染めの種類とアレルギー・パッチテストの基本で別に整理しています。
染めるかどうかを、強い見出しを読んだ瞬間に決める必要はありません。「どの研究の、どの部分が心配なのか」を一つずつ確かめることが、納得して白髪ケアを選ぶ手掛かりになります。
参考情報
- 米国国立がん研究所(NCI):Hair Dyes, Other Hair Products, and Cancer Risk(2022年12月レビュー)
- Zhangほか:Personal use of permanent hair dyes and cancer risk and mortality in US women(BMJ、2020年)
- Eberleほか:Hair dye and chemical straightener use and breast cancer risk(International Journal of Cancer、2020年)
編集:KIWABIヘアケア編集部/内容確認:2026年10月11日。一般的な情報であり、個別の診断・治療や効果の保証を行うものではありません。