洗面台に置いたつげ櫛の歯の間に、白いほこりが見える。いつものプラスチックの櫛のように水で流したくなっても、いったん手を止めましょう。つげ櫛は水洗いを避け、作り手の案内に沿ってお手入れするのが基本です。髪を整える道具を、今日は道具の側から整えてみます。

水を使う前に、素材と仕上げを確かめる
手元の櫛の説明書や購入店の案内を探し、「つげ」と書かれているか、塗装や飾りがあるかを見てみます。木の色に見えても、素材や仕上げが同じとは限りません。古い櫛や譲り受けた品で分からないときは、丸ごと浸す前に販売店や作り手へ相談するほうが、後戻りのできない処置を避けられます。
五島椿本舗のお手入れ案内は、つげ櫛・みねばり櫛について、水による歯のゆがみや割れ、吸水に伴うカビの可能性を挙げています。かづら清老舗のつげ櫛の案内でも、水洗いをしないよう説明されています。「木製ならすべて同じ手入れ」ではなく、いま持っている一本の扱い方を確かめましょう。
椿油は「何でも塗ればよい」ではない
つげ櫛のお手入れでは、椿油を使う方法が案内されています。ただし、油の種類、浸すか塗るか、置く時間は、その櫛の説明を優先してください。髪用のスタイリングオイルには複数の成分が入った製品もあり、名前に「オイル」と付くものを何でも代用してよいわけではありません。
五島椿本舗は、自社で扱う櫛の手入れとして、軽く汚れを落とし、椿油をなじませて汚れを浮かせ、ブラシで取り除いた後、余分な油を布で拭く流れを紹介しています。ここでの油は、櫛という道具のお手入れに使うもの。髪の白髪を改善したり、頭皮の治療をしたりする話とは分けて考えます。
毎日たっぷり浸すほどよい、と回数を増やす必要もありません。日常は髪やほこりを取り、まとまったお手入れは作り手が示す目安と汚れ方に合わせる。手間を増やしすぎないことも、使い続ける工夫です。
歯の間は、強くこすらず少しずつ
明るい場所で歯の間を見て、手で取れる髪やほこりから外します。細い歯を押し広げるように道具を差し込んだり、金属の先で強く削ったりせず、製品が案内するお掃除用ブラシなどを使いましょう。一度で新品の色に戻そうとするより、残った汚れの場所が分かるくらいの気持ちで進めます。
歯が欠けている、触ると鋭い部分がある、ひびが見えるなら、汚れ落としとは別の問題です。髪に通して確かめ続けず、修理や使用の可否を作り手に相談してください。油を足しても、欠けた歯そのものが直るわけではありません。
乾いた髪と、乾いた置き場所へ
五島椿本舗は、濡れた髪への使用や、日光・ドライヤーの熱を当てることも避けるよう案内しています。お手入れを急いで終わらせようと熱風で乾かさず、指定された置き方と時間を守りましょう。浴室や水しぶきの届く場所に置きっぱなしにしない、と場所を一つ決めるだけでも扱いやすくなります。
櫛をしまう前に、歯の並びをひと目眺める。髪をとかす道具の細かな仕事に気づくと、手に取るときの力も少し変わるかもしれません。昔の櫛の形が気になったら、収蔵品の櫛を道具として眺める読みものもどうぞ。使う一本のケアと、昔の品の鑑賞は、それぞれ別の楽しみ方です。
編集:KIWABIヘアケア編集部。公式情報確認日:2026年10月18日。手入れ方法は、実際に使う櫛の最新の説明を優先してください。
画像はAI生成の編集用イメージです。特定の商品や、油を使う手順を実演した写真ではありません。