青磁は青い絵の具で塗っている?|釉薬の色を眺める

青磁の淡い色を見て、「青い絵の具を塗っているのだろうか」と思ったことはありませんか。一般的な青磁の青緑色は、青色の絵の具で表面を塗りつぶすことで生まれるのではありません。釉薬に含まれる鉄分と、窯で焼くときの条件が関わっています。色の名前を一つ知ると、器を見る入口が少し増えます。

青磁の色は、釉薬と火から

釉薬(ゆうやく)は、器に掛けて焼くと、表面でガラス状の層になる材料です。大阪市立東洋陶磁美術館の解説では、成分の組み合わせや焼成条件によって、さまざまな釉色が生まれると説明されています。絵の具を混ぜて見た目の色を決めるのとは、少し違う考え方です。[1]

日本工芸会の説明によると、青磁の青緑色は、釉薬中の鉄分が還元炎で焼かれるときに変化して生じます。鉄分の量や種類によっても色調は変わります。「青磁」という一つの呼び名の中にも、色の幅があるのです。[2]

「鉄から、この色が生まれるのか」。そう知ると、淡い色の向こうに、材料を選び、窯で焼き上げる工程が浮かびます。色を表面に足すという想像から、火を通して色が現れるという想像へ。ここに、青磁を眺める面白さがあります。

同じ青でも、染付とは違う

白い器に青い花や線が描かれた染付は、青磁とは別の技法です。染付では、コバルトを含む顔料で文様を描き、その上から透明な釉薬を掛けて焼きます。釉薬の色と、釉薬の下に描いた文様の色。同じ「青い器」でも、色を表す方法は一つではありません。[1]

とはいえ、色だけを見て「これは青磁」と当てる必要はありません。気になる作品に説明が付いていたら、まず技法の名前を読んでみる。写真の印象だけで産地や素材を決めつけず、作品ごとの説明を手がかりにするほうが、無理なく楽しめます。

作品写真を見るなら、初めは器全体を、次に文様があるかどうかを眺めてみましょう。色が広く面を覆っているのか、細い線や花を描いているのか。「青い」という印象を、目に見える形へほどいていくと、説明文も少し身近になります。ただし、これは技法を見分けるための絶対的なルールではありません。

正解の色を探さず、好きな一か所を

美術館の作品写真を見るときも、家にある器を眺めるときも、何かを書き留める必要はありません。「この丸みと色の組み合わせが好き」「今日は青より緑に近く感じる」。そんな短い言葉で、その日の印象を受け取ってみるのはいかがでしょう。

青磁を持っていなくても、新しく買う必要はありません。出典の解説を開いて、掲載された器の中から気になる一つを眺めるだけでも、今回の話につながります。お茶を待つあいだや、本を閉じたあと。いつもなら通り過ぎる色に、少しだけ目を留めてみる。暮らしの楽しみは、何かを増やすことだけではなく、すでに見えているものを見直すことからも始められます。

器を眺めたあと、手に取って選ぶ楽しみへ進むなら、お茶の器を、手の中で選び直す|口縁・重さ・手触りを楽しむもどうぞ。

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