そんな爪もみ療法が白髪や抜け毛に効果が期待されているのは、自律神経を整える働きがあるからです。自律神経が整えば血行不良も改善できるため、白髪や抜け毛の予防・改善にも効果を発揮してくれるのです。
ただ、爪もみ療法はどこでも適当に爪をもめばいいというわけではありません。そこで今回は白髪や抜け毛対策に効果的な爪もみの場所や方法をご紹介したいと思います。
1. 自律神経の乱れと白髪

白髪が生えるのは、毛根の一番底の毛の生まれる付近にあるメラノサイトという色素細胞の働きが低下していることが原因。
メラノサイトの働きの低下の原因にはいくつかの原因が考えられますが、その原因の1つが血行不良だといわれています。頭皮には毛細血管が張り巡らされていて、メラノサイトもそんな毛細血管から栄養を得ています。しかし血流が悪くなってしまうと十分な栄養を得ることができず、働きが低下してしまうのです。抜け毛も、同じように毛根部分に新鮮な血液が行き届かないために毛が作られなくなることが原因の1つだといわれています。
そんな血行不良は、筋力不足や貧血などでも起こりますが、自律神経の乱れで起こることもあります。
自律神経には交感神経と副交感神経系があり、それぞれがバランス良く働くことで内臓の働きや血流、覚醒と休息をコントロールしています。正常な場合、仕事や運動をしている活動時には交感神経が働き、心拍数を増やしたり血管を収縮させたりします。一方、就寝時やリラックスしている時には副交感神経が働いて、血管を拡張させたり胃腸の働きを活発にさせたりします。
ところが、現代人はストレス等によって交感神経が優位に働きがち。交感神経ばかり働いていると、血管は縮みっぱなしになり、血流は悪くなってしまいます。そのため、新鮮な血液を全身に巡らせられなくなり、頭皮や手足など末端に栄養が届きにくくなってしまうのです。
2. 自律神経を整える効果がある"爪もみ療法"とは

白髪や抜け毛の原因が自律神経の乱れが原因な場合、その乱れを正してあげることで再び健康的な髪の毛を手に入れられる可能性があります。自律神経はストレスや疲労、不規則な生活、偏った食事などによって乱れてしまいます。そのため、こういった生活習慣を改善することが1番なのですが、忙しいとストレスはなかなか解消できませんし、仕事の関係で不規則にならざるを得ないという人もいると思います。
そこで取り入れたいのが"爪もみ療法"。爪もみ療法は、手の爪の付け根部分にある「井穴」というツボを刺激するという、自分で簡単にできる対策方法です。
日本自律神経病研究会理事長の永野剛造先生によると、井穴は神経繊維が密集している感受性の高い場所にあるのだそう。そんな井穴に刺激を与えることで、自律神経にも刺激が伝わって交感神経と副交感神経のバランスの回復が期待できるといわれています。
それだけでなく、東洋医学では「井穴」は"エネルギー(気)の通り道"と考えられている12の経絡すべてを刺激することができるツボとしても知られています。通常は何カ所もツボを刺激しないと全身の経絡を刺激できませんので、爪もみとても手軽に全身の気の流れを整えてあげられるといいます。そのためか、爪もみを試してみると、すぐに手足がポカポカと温まってくるのがわかりますよ。
3. 爪もみ療法、揉む場所や方法は?
自分で簡単にできる"爪もみ療法"ですが、ただ爪のあたりを押せばよいというわけではありません。正しい方法をチェックしてみてください!
井穴の場所
まずは、井穴の場所から。井穴の場所は、下図のように手の爪の生え際から2mmくらいの位置にあります。

すべての指を刺激するのがおすすめですが、実はそれぞれの指にある井穴によって期待できる効果が違います。何か気になる症状がある場合には、そこの経絡に繋がる井穴を重点的に揉むのがおすすめですよ。
親指
場所:爪の付け根の外側
効果:肺など呼吸器系に繋がる経絡。咳、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、リウマチに効果的です。
人差し指
場所:爪の付け根の親指側
効果:胃や腸など消化器系に繋がる経絡。胃腸虚弱、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などに効果的です。
中指
場所:爪の付け根の人差し指側
効果:耳に繋がる経絡。耳鳴り、難聴に効果的です。
薬指
場所:爪の付け根の小指側
効果:交感神経を活発にさせる経路。倦怠感、眠い、抑うつなどに効果があります。ただ、リラックスしたい時やストレスがたまっている時には逆効果になることもありますので、押しすぎないようにしてください。
小指
場所:爪の付け根の両側
効果:循環器系に繋がる経絡。高血圧、動悸、腎臓病、脳梗塞、頭痛、生理痛、糖尿病、肩こりなどに効果的です。

爪もみ療法の方法

爪もみは、それぞれの指の付け根にある井穴の場所を、反対の手でつまんで押しもみするだけ。とても簡単ですね。指一本につき10~20秒くらいが目安です。
片手が終わったらもう片方の手も同じように行ってください。1日3~5セット、気づいた時に行うようにするのがおすすめです。
大事なのは毎日継続して行うこと。自律神経の乱れの予防にもつながりますよ。
4. 爪もみ療法で自律神経を整えよう!

白髪や抜け毛には頭皮の血行不良で必要な栄養が毛根に届かなくなってしまうことが関係しています。そんな血行不良の原因の1つが、自律神経の乱れ。
爪もみ療法は、そんな自律神経の乱れを整え、全身の血行を促進する効果が期待できます。
道具も費用もスペースもいらず、短時間でできる爪もみ療法は誰でも簡単にはじめられます。
自律神経を整えることは免疫力のアップにも繋がるので、髪の毛お悩みだけでなく他にもうれしい効果が期待できそうですね。
【本記事の要約】 白髪や抜け毛の原因の一つとして、自律神経の乱れによる血行不良が注目されています。メラノサイトという色素細胞は、毛細血管から栄養を得ていますが、血流が悪くなると、その働きが低下し、白髪や抜け毛の原因となります。 現代人は慢性的なストレスにより、交感神経が優位に働きがちです。これにより血管が収縮し、末端への血流が悪化して、頭皮への栄養供給が滞ってしまいます。このような状況を改善する手段として、「爪もみ療法」が注目されています。 爪もみ療法は、手の爪の付け根にある「井穴」というツボを刺激することで、自律神経のバランスを整える方法です。具体的には、各指の爪の生え際から2mmの位置を10〜20秒程度、1日3〜5セット揉むことで効果が期待できます。 興味深いのは、各指の井穴が異なる経絡と繋がっており、刺激する指によって期待できる効果が変わることです。例えば、親指は呼吸器系、人差し指は消化器系、小指は循環器系と関連しています。 この療法の最大の利点は、道具も費用も不要で、短時間で簡単に実践できることです。継続的に行うことで、自律神経の乱れを整え、全身の血行を促進し、白髪や抜け毛の予防、さらには免疫力の向上も期待できます。 |