東海道四谷怪談に登場する髪梳きは嫉妬に燃える女の行動と嫉妬の歴史

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歌舞伎などで演じられる「東海道四谷怪談」をご存じでしょうか。少し恐怖を感じる物語なのですが、実は哀れで無惨(むざん)な欲と愛の物語なのです。
本来ならば、愛情表現の一つとして表現されることが多い「髪梳き」が東海道四谷怪談では女性の嫉妬心から恐ろしいことが起こります。
この記事では、東海道四谷怪談のあらすじとこの物語で語られる髪梳きについて、また女性の嫉妬心について詳しくご紹介したいと思いますのでぜひ最後までご覧ください。

1.東海道四谷怪談とはどのような話?(歌舞伎で演じられる場合)


東海道四谷怪談
東海道四谷怪談の物語は、四谷左門(よつやさもん)の美しいふたりの娘、お岩とお袖の運命が動き出します。
四谷左門は「忠臣蔵」で知られる塩冶(えんや)家の武士でしたが断絶し浪人になってしまうのです。お岩は同じ家中だった民谷伊右衛門の内縁の妻となり、お袖も佐藤与茂七と結ばれます。
しかし、伊右衛門はお岩を連れ戻そうとする四谷左門を殺し、お袖に恋する与茂七の家来・直助は与茂七(実は別人)を殺します。ここで、二つの殺人事件が発生してしまうのです。
伊右衛門と直助が父親、夫殺しと知らない姉妹は仇討ちを頼んで犯人の二人と結婚します。そして、按摩宅悦(あんまたくえつ)が営業する地獄宿(売春宿)でお袖と与茂七が売女と客として出会い、お互いが夫婦と分かる場面が歌舞伎の際には笑いを誘います。
その後、一緒になったお岩と伊右衛門ですが、男の子の産後の肥立ちが悪いお岩は事あるごとに仇討ちを迫られます。浪人になった伊右衛門は、傘張りをして生活をしながら貧乏生活や性格が合わないお岩にうんざりするのです。
さらに、お岩を裏切って近所の金持ち伊藤家の孫娘との縁談を承諾してしまいます。お岩は伊藤家から届けられた毒薬を飲むと、顔が醜く変わってしまい、伊右衛門に裏切られたことを聞かされます。
ここから、お岩の恨みが止められなくなるのです。歌舞伎で演じられる際、宅悦に手伝わせて髪を梳(す)く場面でお岩の異常な恨み、強い執念が描かれていきます。お岩が無残な死を遂げた後へ近所から花嫁がやってきますが、お岩と間違えた伊右衛門は花嫁を斬り殺してしまいます。
そして、すべてを失った伊右衛門は殺した小仏小平とお岩の亡霊に悩まされ続けることになるのです。直助と深川三角屋敷の門前に住むお袖の元に死んだと思った与茂七が現れます。
昔と今の夫にはさまれたお袖は二人の手にかかって死に、直助は自害。母親の手引きで蛇山の庵室にのがれた伊右衛門だが、夜な夜なお岩の亡霊に取りつかれます。その凄まじさ。仕掛けを用いたケレン味のある面白い演出が続きます。悪事を尽くし、竹藪まで逃れた伊右衛門も与茂七らによって斬られて、お岩の怨念が晴れることになります。

2.嫉妬に燃える髪梳き


髪梳きという行為は、本来なら女性が男性の髪【かみ】を簪【かんざし】などを使って梳【す】くことを言い、多くの場合は恋人同士の愛情表現の一つとして表現されるのです。
しかし、四谷怪談では毒薬によって顔が醜くなったお岩が、「下座音楽(げざおんがく)」を流しながら、鉄漿(おはぐろ)を塗り、櫛で髪を梳く場面があります。髪が梳かれるたびに抜け落ちていく壮絶な場面で、音楽はお岩の恨みだけではなく、裏切られた悲しみまでを行動に移させていたのです。

3.嫉妬深い女性の特徴


嫉妬深い女性の特徴
東海道四谷怪談のように、古くから女性の嫉妬はさまざまなシーンでありました。嫉妬深い女性には、ある特徴があります。
ここからは、「女性の嫉妬」に注目してみたいと思います。

◆承認欲求が強い


嫉妬深い女性は、受け身的な気持ちを優先させる傾向にあります。例えば、「人から愛されたい」「大切にされたい」「日頃の頑張りを評価してもらいたい」などの感情を強く持っています。
ですので、いつも自分と他人を比べることが多く、自分より評価がよければ相手に嫉妬心や妬みなどの感情が生まれるのです。

◆理想が高い


理想を高く持つことはとても良いことです。しかし、理想を高く持ちすぎると、現実と自分の考えが一致せずギャップに苦しむことになります。
そのギャップの苦しみが知らず知らずのうちに不満となり、さらには自分よりもうまくいっている人への嫉妬心へと変わってしまうのです。

◆行動力がない


理想を求めた際、その理想に近づけるよう行動する人としない人では自ずと結果が変わってきます。理想に近づくために努力すれば行動力とともにやる気も維持できるからです。
しかし、自分は努力せず周りばかり気にしているのに、自分より行動できている人を見ると、「自分ももっと頑張ろう」と思う人もいますが逆に嫉妬心に変わる人もいるのです。行動力がないと自覚しているなら、できるだけ周りを気にせずマイペースに向上心を持つことが大切ではないでしょうか。

◆人目を気にする


嫉妬心は、他人と周りの人とを比べることで生まれる感情です。そのため、他人と比べながら嫉妬心を膨らませている人が多いのも事実。
他人の目が必要以上に気になる人や鏡をやたら気にする人などは嫉妬心を膨らませないよう注意が必要です。

4.女性の嫉妬は平安時代から?


女性の嫉妬は平安時代から?
ここまで女性の嫉妬についてご紹介しましたが、女性の嫉妬の歴史はとても古いことがわかっています。古い物語で言えば、源氏物語が有名です。
源氏物語では、主人公の光源氏がさまざまな女性と男女の関係を結びますが、一人一人特徴のある女性が登場します。彼女達の本質と性質を説明するだけで、物語のあらすじをある程度理解できるかもしれません。
源氏物語で登場する女性達が持つ嫉妬心のような多様な性質は、現代の女性にも通ずる嫉妬心を伺い知ることができます。さまざまな女性の性質として、恐ろしい面や魅力的な面など、さまざまな性格を知るきっかけになるのではないでしょうか。






【本記事の要約】
本記事では、「東海道四谷怪談」の物語の概要を紹介しています。歌舞伎で演じられるこの物語は、姉妹の運命が絡む殺人事件から始まり、嫉妬、裏切り、恨みが交錯する悲劇的な愛の物語です。物語の中で、「髪梳き」のシーンが特に注目され、通常は愛情表現として行われる髪梳きが、嫉妬心に燃える女性のお岩によって恐ろしい形で描かれています。この女性の嫉妬心や嫉妬深い女性の特徴についても詳しく説明されており、嫉妬心は古くから存在する感情であることが、源氏物語にまで遡る例を挙げて語られています。

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