「そのまま特に何もしていない…」
「ナイトキャップをかぶる…」
「タオルを巻いている…」
など人によって様々です。
眠っているときは無防備で無意識なので髪の毛を意識することはできません。そのため寝る前のケアや対策次第でダメージを防ぐことも与えることもできてしまうのです。
そこで今回は髪の毛がなぜ痛むのかという仕組みから、髪の毛を痛ませない就寝前の対策まで詳しくご紹介させていただきます。
1.髪の毛の仕組み

髪の毛は毛根で作られており、毛根の中にある毛球で髪の毛を作り出す大切な細胞の毛母細胞が、毛乳頭からの指令によって増殖や分解して角化したのが髪の毛になっていくのです。髪の毛は死んだ細胞で、毛母細胞の活動によって押し出されて成長していきます。
日本人の髪の毛の本数は平均10万本と言われていて、健康的な髪の毛でも毎日80〜100本程度抜ける仕組みになっているのです。髪の毛の一生は成長期→退行期→休止期を一周とした、一定のヘアサイクルに沿って進んで行きます。
成長期…髪の毛全体のうち8〜9割はこの成長期にあるとされています。毛根の毛母細胞が分裂することで髪の毛が成長していき、どんどん伸びていく時期にあたります。
退行期…成長期の次にくる周期が退行期です。徐々に毛乳頭の活動が弱まってしまい毛母細胞が分裂するために必要な命令が届きにくくなり、栄養も行き渡りにくくなってしまいます。毛乳頭から毛母細胞が離れて2週間程度の時間をかけて休止期へ向かっていきます。
休止期…休止期に入ると毛乳頭が収縮してしまい命令や栄養が完全にいかなくなり、髪の毛の成長が完全にストップしてしまうのです。休止期の髪の毛は全体の10%程とされており、この状態が2〜3カ月程度続きます。
この後毛乳頭の働きが再開すると、新しい髪の毛に押し出されるようにして古い髪の毛は自然と抜け落ちていき新しい次のサイクルに入るのです。
髪の毛の構造
髪の毛の構造は表面からキューティクル→コルテックス→メデュラの順で3つの層から成り立っています。
キューティクル…一番表面にうろこ状に重なり合っているのがキューティクルです。キューティクルはケラチンというタンパク質からできており、髪の毛の内部のコルテックスを外的刺激から守っています。
表面上のキューティクルがダメージを負ってしまうと少しづつ剥がれ落ちてしまい髪の毛の内部にダメージを受けやすくなってしまったり、髪の毛の内部の水分や栄養素を維持できなくなってしまうのです。
コルテックス…髪の毛の8〜9割の殆どを占めるのがコルテックスです。キューティクルとメデュラの間に位置しており、ケラチンというタンパク質と脂質と水分からできています。コルテックスの量や質で髪の毛の強さや太さの違いがでます。メラニン色素も含まれているため髪の毛の色味にも影響を与えます。
メデュラ…やわらかいタンパク質で作られており、髪の毛の一番中心部分に存在しています。太い髪の毛に多くみられるのですが、新生児の毛や細い髪の毛には存在しないこともあり、役割がまだ解明されていない部分でもあります。
2.髪の毛が痛む原因

髪の毛がダメージを受けて傷んでしまう原因とは何があるのでしょう。いくつかの原因をみていきます。
カラーやパーマの施術からのダメージ
カラーやパーマを施術することで髪の毛の表面にあるキューティクルを開き、内部を脱色したりとどうしても負担をかけてしまいます。これを繰り返していくうちにダメージが蓄積されてしまい髪の毛の痛みにつながるのです。
ハイトーンのカラーやブリーチ剤を使用した施術、縮毛矯正やデジタルパーマなどは特に負担の大きい施術になるので注意が必要です。
ドライヤーやコテの熱ダメージ
髪の毛を乾かすために毎日使うドライヤーやスタイリングに使用するコテやアイロンは、使い方を間違えてしまうと髪の毛へ深刻なダメージを与えてしまうことになります。
髪の毛はタンパク質でできているため、熱を当てすぎてしまうと硬くなったりごわついたりしてしまいます。よく例えられるのが、同じタンパク質のタマゴを熱すると白身が白く固まります。それと同じ現象が髪の毛の内部でも起こってしまうのです。
また、生乾きや水分が髪の毛に残っている状態でアイロンやコテをあててしまうと、「ジュッ」と一気に蒸発してしまい、髪の毛に必要な水分までも一緒に蒸発させてしまいダメージの原因につながります。
髪の毛が濡れたまま放置してしまう
髪の毛は濡れている状態の時が一番無防備で摩擦にも弱く、ダメージを受けやすい状態にあります。そのまま髪の毛同士でこすれたりすることで知らぬうちに傷んでしまうのです。
髪の毛を濡れたまま放置していると自然乾燥されていきます。その水分が蒸発するときに髪の毛に必要な成分までも一緒に持っていかれてしまうので髪の毛が乾燥でかバサバサになってしまうので注意が必要です。
紫外線からのダメージ
紫外線はお肌だけではなく髪の毛の内部を酸化させてしまい、髪の毛にもダメージを与えてしまいます。頭は体の中でも一番上になるので、上からの紫外線の影響を受けやすい部分になるのです。
髪の毛の表面のキューティクルも強い紫外線にさらされると、剥がれ落ちてしまいさらに傷みやすくなってしまいます。カラーをしている方は気を付けなければ、せっかく染めたカラーが紫外線によって退色してしまうので要注意です。
外出の多い方はこの原因が根深い場合もありますので、紫外線によるダメージについて詳細が気になる方はこちらをご一読ください。
3.眠っているときになぜ痛む

痛む理由がわかったところで、眠っているときに髪の毛を傷めてしまう原因をみていきます。結論から言うと、摩擦、絡まり、乾かし不足、これらが主な原因と言えるでしょう。
寝具や布団の摩擦
人間は寝塗っている間に約20回ほどの寝返りをうつといわれており、そのたびに髪の毛とマクラや寝具の間で摩擦が起きてしまうと髪の毛はダメージを受けてしまいます。髪の毛の摩擦はキューティクルへの負担が大きく、蓄積されると大きなダメージへとつながっていくのです。
絡まりによる負担
寝方や寝相によって個人差は大きいですが、眠っているときは髪の毛を意識することはできず知らぬうちに髪の毛同士が絡まりあってしまうことがあります。絡まったまま朝まで寝ていてさらに摩擦を生み、直す時もブラシやクシでとかなくてはならないので髪の毛には負担が大きい行為となるのです。
髪の毛が乾いていない状態で寝る
髪の毛を乾かさなかったり乾ききっていない状態のまま眠ってしまうと髪の毛は傷んでしまいます。濡れていることでキューティクルが開いた状態のまま摩擦が負担になってしまうのに加えて、水分も内部からどんどん蒸発していってしまうのです。
4.就寝時にできる対策は?

就寝時に髪の毛を傷めることなく寝る方法はないのでしょうか。そこで寝る前にできる対策をご紹介させていただきます。
きちんとドライヤーで乾かす
お風呂は夜に入る方が大多数だと思うのですが、洗髪の後に適切に髪の毛を乾かしてあげることが重要になってきます。乾かし切れていないとダメージや寝ぐせの原因となってしまいますし、乾かしすぎるとオーバードライで髪の毛がパサパサに乾燥してしまうので8〜9割のバランスが大切です。
1.目の粗いクシで分け目を調整し、絡まりや引っ掛かりをとっておきます。
2.中間から毛先を中心にアウトバストリートメントをなじませて、クシでさらに行き渡らせてください。(ミルクタイプやオイルタイプはお好みでお選びください)
3.ドライヤーを温風の強で地肌を中心に根本から乾かしていきます。(前髪がある方は前髪から先に乾かしてください)
4.ある程度乾いたところで、中間から毛先も風をあてて乾かしていきます。
5.全体の8〜9割程乾いたら冷風に切り替えて上から下へ向けて風をあててください。(冷風をあてることで今の形をキープしてくれるのでまとまりのある髪の毛にしあげることができる)
就寝前にブラッシングして保湿する
寝る直前にブラッシングをして髪の毛をキレイに整えておいてあげると髪の毛が絡まりにくく摩擦も防ぐことができます。ブラッシングした後にアウトバストリートメントを軽めに毛先に馴染ませると静電気や摩擦の予防にもなるのでオススメです。
ナイトキャップをかぶる
ナイトキャップとは就寝時に髪の毛の摩擦を防ぐためにかぶる専用の帽子です。素材がシルクなどの摩擦が起きにくいものが多く、かぶって眠るだけでテクニックいらずで髪の毛のダメージを減らすことができるのです。
ショートからロングまで対応できて寝返りによる絡まりも防ぐことができます。また、髪の毛や頭皮の乾燥も抑えることができるので美髪を目指す方は是非取り入れてみてください。
髪の毛を軽くまとめる
寝るときにヘアゴムやシュシュなどを使って軽くまとめて眠ることもダメージを防ぐのに有効となります。絡まりや摩擦を極力なくすことができるのです。あまりぎゅっと結んでしまうと跡がついたり頭皮が引っ張られてしまうので軽めを意識してみてください。
・ツインテール
左右に2つに分けて結ぶことで仰向けで寝ても邪魔にならず対策することができます。
・頭頂部でお団子
頭の高い位置でゆるいお団子にすることで仰向けでも寝返りをうっても邪魔になりにくく一番摩擦が起きにくくなります。
・三つ編み
三つ編みにして寝ることで対策できるだけではなくて、翌朝ほどいた後にゆるいウェーブができているのでそれをうまく利用してあげることで朝のセットの時短にもつながり一石二鳥になります。
・サイドにまとめる
左右どちらかに寄せてまとめてしまう方法です。特に寝る方向が癖で決まっている方にオススメの形になります。
ロングヘアの方はこちらをご覧いただくとイメージがつきやすいかもしれません。
低反発マクラを取り入れる
マクラは直接頭や髪の毛にあたる部分なので、頭の形に沿ってくれる低反発タイプのものの場合負担なく支えてくれます。負担のないことから正しい睡眠中の姿勢に自然となるので摩擦や寝ぐせもつきにくくなります。
枕カバーを通気性の良い綿やシルクの繊維のものに変えることでさらに効果が期待できます。
5.まとめ
意外と意識することの少ない就寝時の髪の毛への負担、様々な要因によって知らぬうちにダメージを負ってしまっていることがおわかりいただけたのではないでしょうか。しかし、乾燥や摩擦さえ起こらなければ髪の毛を傷ませなくてすみます。
就寝前の対策に加えて保湿力のあるシャンプーやトリートメントに変えることでも、乾燥から守りやすくなり就寝時の負担も軽減することができるのでオススメです。トリートメントやヘアマスクなど高保湿のものを定期的にすると、髪の毛の表面のキューティクルを整えてくれ髪の毛の内部まで潤わせてくれるので静電気や摩擦の予防効果が高くなります。
対策だけではなく日常から髪の毛を傷ませないように、傷ませたらケアをしてあげる習慣を作ってあげることで対策がより効果的になるのです。シャンプー、トリートメント、紫外線、乾燥、摩擦と髪の毛のダメージの原因はあちこちに潜んでいます。
日ごろから美しい髪の毛を維持できるように少しケアや対策を取り入れてみていただいて、ダメージを与えずに就寝できるように是非目指してみてください。
【本記事の要約】髪の毛の就寝時のケアについて、寝ている間に髪の毛が傷む原因とその対策を紹介しています。髪の毛は寝具や枕との摩擦、寝返りによる絡まり、濡れた状態で寝ることなどが原因でダメージを受けやすくなります。髪の毛はキューティクルという外的要因から守る層があり、これが傷つくと内部にダメージが進行します。睡眠中の髪の毛の傷みを防ぐためには、まず髪を完全に乾かすことが重要で、髪が湿ったまま寝ることは摩擦を引き起こし、ダメージを加速させます。また、寝る前にブラッシングや保湿を行い、髪の絡まりを防ぐことが効果的です。ナイトキャップやヘアゴムを使って軽く髪をまとめることも、摩擦や絡まりを防止する手助けになります。寝具選びも重要で、低反発枕や通気性の良い枕カバーに変えることで髪の負担を軽減できます。日常的に髪をケアすることが、就寝時のダメージを減らし、美しい髪を保つためには欠かせない対策となります。 |